蝉ミキサーさんが話しているうちにふと創作した謎のキャラクター人気投票の結果
そういえば、ブログに始まりを書いたので終わりもブログに書こうと思います。
結果はこんな感じ。
1位(5票)
幼い頃から色々なものにレモンをかけ続けた人生を歩んだ人
バター直食い男
3位(4票)
人形操作とトランプと空手を組み合わせたまったく新しい格闘技を使う槍使い
何度時間をループしても技術を盗む弟子
「どうやら僕の異世界知識の出番のようだね!」ってポップしてくる異世界転生
高宮なすの、あるいは〝僕〟
7位(2票)
歴史の研究が何の役に立つか聞かれた学者
魔法使いちゃん(この中にはいないの投票についたコメントより)
個人的にはバター直食い男がすげー好きなのできちんと評価されているのが嬉しかったです。
あとびっくりするくらい横並びで3位までの6人は誰が1位になってもおかしくなかったな、と。
それでは1位の"幼い頃から色々なものにレモンをかけ続けた人生を歩んだ人"と"バター直食い男"の再登場話です。
小学生くらいの頃には隙あらば給食に檸檬をかけようとする私を友達にしようという人はいなかったが、高校生ともなれば成長して酸いも甘いも噛み分ける――――違うか、酸いも酸いじゃない部分も噛み分けられるようになったのか私と仲良くしようという人たちも周囲にでてきた。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「あ、私その人知っているかも」その数少ない友人からバター直食い男の話を聞いたときの私の第一声だった。 友人曰く、インターネットで話題になった人でその時期にインターネットにどっぷり浸かっていた人なら誰もが知っている有名人なんだとか。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「えっ、嘘」そんな風に驚く友人達に私はあの時であった奇妙な人のことを話すことにした。 あれは、私が近所のスーパーで檸檬を大量購入していたときの話だ――――
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
私がいつものようにドサドサと近所のスーパーの檸檬を買い物カゴに入れていると、おかしな人に気付いた。 その人はなんとドサドサと買い物かごにバターを入れていたのだ! 不思議な人もいるものだとつい凝視してしまった。 (ここで友人からツッコミが入った)
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
そしてその人も私の方を見て,続いて私の買い物かごを見た。 私は思った――――負けられない。 私は負けじと檸檬を買い物かごに入れて、その人も私の対抗意識に気付いたのか負けじとバターをかごに入れた。 結論から言えば――――その日、スーパーから檸檬とバターが消えた。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
二人で競うようにレジにかごを持っていき、会計が終わりその人と目が合うと二人してなんか笑ってしまった。 「あの、第二次オイルショックですか?バターが枯渇するだなんて聞いたことないですけど」 「俺もこの街でレモン投げ祭が開催されるだなんて聞いたことねえな」
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
それが二人の最初の会話だった。 (ここで友人からそれが最初の会話なの!?と驚かれたが、目が合って笑いあった時点で私たちの間で挨拶は終わり知り合いとなっていたのだ) 私は答えた「投げませんよ、もったいない。かけるんですよ」
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「おじさんは?ホットケーキでも作るんですか?現代日本じゃくるくる回る虎はなかなかいないですからね、買うしかないですよね」 「そんなしゃれた物は食ったことねえな。このまま食うんだよ」 そう言っておじさんはなんとバターの包みを破いて齧り付いた!
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「あんたも俺のことを変わり者だと笑うかい?」 「そうですね、平均から外れているという意味では間違いなく変わり者だと思います」 私と同じくらいに、というメッセージを込めて軽く檸檬でぎっしりのスーパーの袋をかかげた。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「じゃあ否定するかい?」「はい、部分的に」「部分的に?」「ええ、バターをそのまま食べるなんて馬鹿みたいですよ」 そう言うとおじさんは少し寂しそうに、でも分かっていたとでも言うような複雑な笑いを浮かべた。 でも、おじさんは多分わかっていない……まだ私のことを、何も。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「だって、檸檬をかけたほうが絶対に美味しいですから。かけてあげますね」「やめろ」「残念、もうかけてしまいました」両手を開き潰れた檸檬を見せる。 驚いた顔を浮かべるおじさんに、私は意識的に満面の笑顔を浮かべる。 「美味しいですよ?食べてみてください」
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「あんた……手品師かい?」「女子高生です。小さい頃に八百屋さんにいつかこの国を救う人間になると言われましたけどまだ何者でもありません。おじさんは?」「俺は俺の正義を知らしめたいだけの……ただのおじさんだ」 そう言っておじさんは檸檬のかかったバターを食べた。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「酸っぱいな……」 「ええ、檸檬ですから」 「あんたはそうやって見知らぬ人の食べてるものに檸檬をかけ続けてきたのか?」 「はい、それが手の届くところにあるのなら」
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「そんなんじゃ生きづらいだろう」「ええ、誰も一緒にお昼ご飯を食べてくれないし一生懸命アルバイトしても全部檸檬に消えていきます」 「それでも続けるのかかい?」 「おそらく死ぬまで」「そうかい……」おじさんは遠い目をしてしばらく沈黙してもう一度つぶやいた。「そうかい」
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「俺もね、訴えたい正義、いや、信念か?まあそういうものがあるんだが、人に否定されるのが怖くてずっと黙ってた。でもそうだな、一度世間に問うてみてもいいのかもしれないな」「わからないですけど、多分それがいいですよ。私もこんなんですけど、友達ができました……一緒にご飯は食べてくれませんけど」
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「そりゃいい!そうか、あんたにも友達ができるのか。いつか友達と一緒にご飯が食べられるといいな」 「はい、その時はいっぱい檸檬をかけますねっ!」 以上が私とおじさん――――バター直食い男の会話の全てだ。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
その会話のあと、私はバター直食い男と呼ばれている男のインターネットで出回っている写真を友人にプリントしてきてもらった。 トレンチコートを羽織り、マスクをつけていたが、それはあの時のおじさんだと私は確信した。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
私はバター直食い男の写真を定期入れに入れて持ち歩いた。 それは私に勇気をくれた。 おじさんはあの後、自分の在り方を世界にぶつけた。 私も負けてられない、スーパーでは引き分けだったんだからその後負けたのならそれは私が楽しようとしたからだ。 いつか再会したときそんなんじゃ恥ずかしい。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
――――数年後、バター直食い男とかつてインターネットで呼ばれた男はドブ河の中にかつてなんでもない女子高生だった女性を見つけた。 その傍らには檸檬が浮いている。 「やはりアンタか間に合わなくてすまなかった」と男は口の中で小さくつぶやいた。 その檸檬を女性にかけようとしたが、男はふと手を止めた。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
「俺は俺の正義を貫く。でないと恥ずかしくて顔向けできねえや」そういって男は女性の口にバターをねじ込んだ。 そしてかけようとしていた檸檬を手に持ったバターに絞って囓った。 「酸っぱいな……」 "ええ、檸檬ですから"という返しはいくら待っても返ってこなかった。
— せみみ@食器洗え (@semininjer) 2015, 8月 7
誤字脱字が多いですけど、考えながら書いて投稿していったので許して欲しいな。
あと、バター直食い男が彼女が死ぬところを見つけたのは、偶然ではなく檸檬をかけようとして追われている人間の話を聞いて、あの時の少女に違いないと思って独自に追っていたからです。