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この星に捧げる 愛というしるしで

「グルール一族の橘ありす?」
「そうだ、橘ありすは何かの間違いでグルール一族に所属してしまった。アゾリウスやオルゾフ、そうでなくてもディミーアやイゼットでも自分の役割を見つけてそれを果たして人に認められながら生きていけるだろう、だがグルール一族の橘ありすはただ無力なだけだ」
――――Twitterのどこかでかわされた会話


人のブログで"ツイッターで人気者になるには悪口を言わない、なにが嫌いかなんて事を話しちゃいけないからからな…"っていわれてるのを見て、そういえば私のブログって前に「このブログ書いた人、感性鋭いなって思うけど基本的に「~は嫌い」って形で発揮されててしんみりする」とか言われてたのを思い出したので今回は思いっきり好きなものについて愛を語ります。

・近況報告4、蛮族
最近は蛮族に想いを馳せることに時間をよく使っています。

いや元々、あまりに世界史の知識がないんである程度の教養は欲しいなー、っていう欲求があってそこからまあなんや友人と盛り上がって近藤和彦編の"西洋世界の歴史"という本を読んでる感じなんですけど。
まあ、これからテストをうけるでもないしあくまで娯楽として年号とか人名とかてきとーに読んでます。

思うこととしてはこれ境界線上のホライゾンがここまでシリーズ重ねる前に学んでおくべきだったなー流石に今から再読する気力は湧きそうにないぞとか、言うてもciv5のプレイに間に合ってよかったとか、カールとかいう名前色んな国にいすぎ紛らわしいんだよとか、そのへんシャルルという名前は偉いとか、色々と思うことはありますけど、そのへんはまあどうでもいいです。


大切なのは蛮族です。もはや西洋世界の歴史を知るモチベーションは蛮族という概念について知るためといっても過言ではありません。
ああ……魅惑の蛮族よ……!

小説や漫画、ゲームの中で蛮族は活き活きと様々な活躍をしている。
しかし、私は歴史を学ぶ中で気付いてしまった。我々、現代日本人は蛮族を持たない民族なのではないか、と。

蛮族――――バルバロイという言葉は最初はギリシャ人でない人を指す言葉として歴史に登場した。最初は中立的だったその言葉もアテナイの人々が自信を持つと蔑視的なニュアンスを含んでくる。そしていつしか、文明を持たない文明人よりも劣った好戦的な人種をそう呼ぶようになってきた。
そこから様々な人々が蛮族と呼ばれた。
ローマ市を襲撃したゴート族、そのゴート族すら恐れた東ローマ帝国を侵攻し大量の黄金を貢納させたフン族、パリを脅かした伝説のヴァイキングであるラグナル・ロズブローク、最盛期のローマ帝国の2倍にも達する広さを持つ大帝国を作り上げたモンゴル、そして新世界の原住民達――――私たちはみな子供の頃彼らの活躍に胸を躍らせ、そして衰退やキリスト教への帰依に涙した。


しかし、大人になってふと気付く、私たちは蛮族を持っていないのではないかと。
蛮族という文明人が非文明人に向けるある種の傲慢さをもった眼差しであり、誰が蛮族かという問いに対して特定の立場に立脚しない客観的な回答というものはあり得ない。これは略奪や侵略を行っていたのはヨーロッパ人であったにも関わらずヨーロッパ人が新大陸の原住民達に蛮族という言葉を使用したことからもうかがえる。

ならば、私たち現代日本人は誰かを蛮族と呼べるだろうか?
先ほどならべたような人々を蛮族と呼ぶのは彼らと戦ったその時代のヨーロッパの人々の眼差しであり、私たちがもつ眼差しではない。

私たちは学校であらゆる文化を相対化した眼差しを学ぶ。ある社会の中の文化をその外部の社会の尺度によって測ることはできない、自らの文化を数ある文化の一つして相対化し互いに相手の価値観を尊重しなければいけない――――そのように何度も習いその考え方はすでに現代の日本の若者に取っては自然な血肉となってしまっている。
外の文化で行われている人権の侵害、虐殺やテロリズム、奴隷制、そうしたものに対して怒りを覚え(あるいは傲慢にも)正義の名の下に是正したいと考える時ですら――――私たちは相手を悪と呼ぶことはあっても蛮族と呼ぶことはできないではないか。


これほどまでに蛮族を愛して、蛮族をより理解しようと学べば学ぶほど――――私の胸の中には蛮族という概念が存在しないことに気付かされる!
愛は確かに存在するのだ!この胸の中に!しかし愛する対象はこの胸の中にすら存在しない!空虚に向かう愛は情熱となり更なる蛮族への知識や理解を求める行動となるが、それはより空虚さを浮き立たせるだけなのだ!

あ々、この胸の中に神がいればよかった!
そうしたならば神を信じない人々をまだ真理を知らぬ蛮族と蔑むことがあるいはできたかもしれないというのに!
この胸の中には神は不在で、文明を測る絶対の物差しはなく、正義はあってもその正義は蛮族を作らない。
故に蛮族は存在しない。存在しないのだ!