東京と私

 私がこの東京という街に受け入れられたと、そう感じたのは仕事を辞めて今の仕事を始めてからだ。と、いうと東京は別に受け入れたり排斥したりしねーよ、と思われるかもしれないし今となっては私もそう思うがそんなことに気付かないほど精神的に余裕がなかったのだ。ホームシックもあっただろう。あと前職がクソだった。
 
 ではなんで受け入れられたと思ったからと言うと錦糸町乗り換えになったからだ。と、いっても東京近辺の人以外には伝わらないだろう、色んな人が乗り換えに使う駅だとだけわかってくれればいい。なんとなく人の流れに乗って降りることができるのだ。
 ではその前はどうだったかというと降りる人がほとんどいないような駅だった。しかも、乗車駅と反対側のドアが開くので毎日「すみません降ります」と言って人の群れをかき分け降りなくてはいけなかった。私は何故か私がそんなことをしなければいけないのは私が田舎出身だったからだと、そう感じていた。なんの理屈もない話ではあるが、追い詰められている人はそういう客観性を持てないものだ。
 
 毎日、降りる人があまりに少なく、2ヶ月も経つ頃には同じ時間に同じ駅で降りる人をなんとなく記憶していた。毎日同じ駅で降りる赤いサリーの女性などには「うんうん、貴方も日本に来て孤独なんだね……」って勝手に共感したりしていた。
 こうして書くと本当に病気っぽい思考してるな……。