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バカの振りしなきゃやってられねぇぜ!

君は自分のことを善人だと思うかい?多くの人は善人として生きていく覚悟なんてなく自分の事を善人だなんて決めつけないで中庸として生きる。しかし、自分が善人かどうか決めなくてはいけない状況という物は前触れなくやってくるものさ。濁流の中で溺れている子供を見たとき、その子供を助けたいと思わないことは難しい。はたしてその瞬間がやってきたとき、君は飛び込まずに中庸のままでいられるだろうか?
……これは僕が"どちらか"を決定する記事だ。敵との熾烈な戦いは僕に中途半端な態度を許さない。どうやら僕は自分が善人かどうかを決めなくてはいけないようだ。僕?そうだね、僕の敵は僕のことを〈蝉ミキサー〉と呼んでいるね。


ヤな野郎だなとオマエが言うから
ヤな野郎だなとみんなが言うから
いい人ぶったらみんなに誉められた
THE BLUE HEARTS〈平成のブルース〉




0、
「さて、貴方との関係もここで終わりですね。私は次はもっと上手くやります。信頼できる人だけ集めて、自分を信仰する人は遠ざけて」
ぼんやりと、すべてが曖昧な感覚の中で彼女の声が近づいてくるのがわかる。
僕は死のうとしてる。指はもはやぴくりとも動かない。このまま近づいてきた彼女に殺されるだろう。
彼女の〈ザ・ヴェール・オブ・イグノレンス〉は強力な能力で、仮に身体が十全に動いたとしてもどうにかできるとはとても思わない。 そんな中、僕はただ一つのことを考えていた。
(―――――――――――――――か)
「私は貴方のことが嫌いじゃありませんし――――いえ、むしろけっこう好きでした。貴方が私と仲良くしようとするのならあるいは仲良くできたかもしれないと思っているんですよ?」
死ぬということに僕はもうなにも感じなくなっていた。死ぬと分かってしまった瞬間、痛みも恐怖もどこかへ消えてしまった。 今、頭の中は非常にクリアだ。
(――――――――――なのだろうか)
彼女の声がいよいよ倒れている僕のすぐ上までくる。
「結局、貴方は何がしたかったんです?嫌いだから関わりたくないと思っているような行動を取ったり、かと思ったら急に距離を縮めてきたり、もしかして気を引きたかったんですか?」
僕の命はあと十数秒以内に消えるだろう。
その前になんとしてでも答えを出したかった――――
(はたして僕は"どっち"なのだろうか)
その疑問のことしか頭にはない。
(はたして僕は、善人と悪人、"どっち"なのだろうか――)



君がどんなに強い信念で善良であろうとしても善良な人間のまま死ねる可能性は1%くらいだろう。どうしても善良なままで死にたいのなら正義のために戦って死ぬしかない。
それくらい社会というものは人間を善良なままではいさせない。
蝉ミキサー〈蛇の王国〉


1、
さて、そういうわけでやっと記事がスタートである。
いや、うん、別に上のは書きたかっただけでこれから深く関わってきたりはしない、あくまで雰囲気だけ楽しんで欲しい。 かつて僕は敵にあたる人間から「なんでなんで年齢詐称するんですか」と聞かれたことがある。それ以来、僕はずっと彼女の問いになんと答えるべきだったか考えている。――――はたして人間は"どっち"なのかと。
人間は正直者であることを選ぶのか、それとも嘘つきであることを選ぶのか。善良であることを選ぶのか、自由であることを選ぶのか。正直者であることに理由があるのか、嘘をつくことに理由があるのか。
つまりは、「人間は自然な状態にあるとき正直者と嘘つき、"どちら"になるのか」ということである。もし、人は本来正直者なんかじゃなく、そのときそのとき思ったことを口にする生き物であるのなら彼女の問いは無効である。僕の彼女への返答はこうなる、すなわち、「逆に聞くけどどうして君は正直者であることを選んだんだい?僕にはその理由がないんだよ」――と。
逆に人は本来正直者であるのなら、僕は自分が気まぐれに嘘をつく理由を自分の中に探さなくてはいけない。確かに人は本来正直者なのではないか、という気がする。何故なら、嘘はわざわざ考えなきゃいけないのに対して、本当のことはなにも考えずに口にできるからだ。その方が楽ならそっちの方を自然な状態にある人間は選ぶだろう。
あらゆる政治的なかけひきから解放された人間は嘘つきなのか正直者なのか、問題はそこなのだ。例えば、シェルターに籠もっている間に人類が絶滅して、宇宙人からコンタクトがあって自分のことを話すとき、人は正直に話すのか。例えば、彼女の能力〈ザ・ヴェール・オブ・イグノレンス〉の影響で自身の出身・背景、家族関係、社会的な位置、財産の状態などについては知らない状態になったとき、嘘をつくのか。
さっき私は「嘘をつくのは面倒だから人は正直者になるのではないか」と書いたがそれは消極的に正直者であるというだけだ。例えば直前まで漫画を読んでいてそっちで頭がいっぱいだったら宇宙人に自分のことを聞かれたとき、漫画の主人公の設定を話してしまう方が楽なのでないだろうか。
そもそも、語るという行為がすでに多分に政治的で政治的な理由から解放された話者というのは存在し得ないのではないだろうか。 飽きた。


(飽きたっていうか、これ記事が始まる前の部分が書きたかっただけだよな)
(まあ、いいじゃん)